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なぜ、すべての会社が高性能グラスウールを使用しないのか? それにはやはり理由があります。
こんにちは!
思わず深呼吸したくなる健康・快適・幸せに暮らせる木の家づくりをしています。
ブログ読んで頂きありがとうございます。
京都府舞鶴市の木を愛する・・・塩見工務店
塩見智則です。
今回は断熱について書いてみようと思います。
※まず初めに誤解してほしくないのですが、このブログの内容は『高性能グラスウール』がダメ!
『高性能グラスウール』を使用されている建築会社の家がダメ!という内容で書いているのではありません。
『高性能グラスウール』を標準仕様にされて高気密・高断熱を実現されている建築会社さんは全国で多数おられますので。
まずグラスウールとは?
ウィキペディアより引用すると・・・。
グラスウール (glass wool) とは、短いガラス繊維でできた、綿状の素材である。
建築物における断熱材として広く用いられるほか、吸音材(遮音ではない)
としてもスピーカー等や防音室の素材として用いられている。
防火性にも優れており、アスベストの代替材としても広く使われるようになった。とあります。
昔の家はほとんどこの断熱材を使用していました。
最近は高性能グラスウールという性能の高い改良商品も発売されています。
普通のグラスウールと厚みが同じでも、高性能タイプのグラスウールは、ずっと高性能です。
営業マンが、「うちにグラスウールは厚みが100㎜あります!」といっても、
それが普通のグラスウールだとしたら、性能で言えば、高性能グラスウールの90㎜よりずっと低い性能しかありません。
グラスウールを標準仕様にしている会社で家を検討されている方は、まず、高性能グラスウールなのかを確認して下さい。
それでは、もう少し詳しくグラスウールについてお話します。
一番のメリットは断熱性能の割に、他の断熱材に比べて、圧倒的に安いということ。
これは、大変大きなメリットです。
住宅エコポイントや、長期優良住宅の対象となる温熱等級4という数値をクリアする必要があります。
高性能グラスウールを使用すれば、最も安価で、この数値をクリアできます。
それなら、なぜ、すべての会社が高性能グラスウールを使用しないのか?
弊社も使用しません。
それにはやはり理由があります。
1つは、性能を圧倒的にあげて、差別化したい場合。
グラスウールでも厚くしてけばそれだけ性能はあがっていくのですが、
グラスウールが柱の間に施工するという特性上、柱の厚み分しか厚くできません。
つまり、柱の厚みが高性能グラスウールの限界性能ということになります。(特殊な工法は除いて)
お施主様の希望する断熱性能が、それ以上のものであったり、
北海道のような寒い地域では、物足りないということもあります。
施工のむずかしさを理由に、他の断熱材を選択する方もいるでしょう。
断熱性能というのは、断熱材自体の性能はもちろんですが、それよりも確かな施工があって初めて発揮されます。
ここでいう確かな施工とは、隙間なく断熱材を充填できるか?ということです。
いくら良い性能の断熱材を使用しても、隙間があってはそこから熱の移動が起きてしまいます。
そういう点でいえば、グラスウールは、隙間なく施工することが非常に難しい断熱材なのです。
難しいというところがポイントです。
隙間が少ない家=気密性に優れた高性能の家といえます。
グラスウールで施工した家では、気密性を高めることは大変困難です。
発泡ウレタンや、セルローズファイバーでに比べて、
グラスウールは気密性という意味でいうと、決して性能の良い断熱材とは言えません。
隙間が多いということは、エアコンの効きが悪くなる。
当然、光熱費が高くなります。
■設置価格の安いグラスウールを選んで、高い光熱費を払い続ける。
■設置価格の高い発泡ウレタンや、セルローズファイバーを選んで、光熱費を抑えて、初期投資を回収する。
どちらがいいのでしょう?
ということになります。
私が懸念するのは、グラスウールの気密性です。
性能がどうこうという話ではありません。
現場監督の管理能力、大工の施工能力によって、気密性に差がありすぎるのです。
特にすじかいが入っている部分は、施工精度に差が出る部分です。
このように、すじかいがあっても、グラスウールの隙間が空かないように施工することが重要です。
ベテランの大工さんだからといって、施工が上手いとは限りません。
しっかりとした断熱材講習を受け施工知識を持った大工さんやしっかりとした
現場監督の管理能力がその建築会社さんがいるのなら問題はありません。
下の写真は悪い例です。
グラスウールは製品の幅が数パターンしかないため、施工箇所の幅が、
そのパターンに合わないと、現場でカットしたり、継いだりという作業が必要になり、どうしてもその部分の気密性が落ちてしまいます。
ただ入っていれば良いってものではないんです。
グラスウールを使用する場合の注意点・対策
グラスウールを標準仕様にしている住宅会社で建築予定の方は、下記を希望してみることをおすすめします。
・外周に耐力面材を貼り、すじかいは、なるべく外周にもってこない事が大事です。
すじかい部分の施工難度が高いため、グラスウールを施工する外周側にすじかいを持ってこないように設計することは大変有効です。
壁倍率の高い外周合板ダイライト等を、外周に施工すれば、すじかいをかなり少なくすることが可能になります
・グラスウール施工後にスイッチやコンセントの移動をしない
スイッチや、コンセント部分も隙間ができやすい部分です
・変則的な寸法の間取りにしない
1mなら1m 910㎜なら910㎜で統一して設計しておけば、グラスウールの現場カットが少なくなります
・窓の大きさに注意する
柱~柱の間にぴったりの窓を選べば、窓と柱の間の隙間が少なくなります。
窓の横の隙間というのが グラスウールで は大きな弱点となります。
この部分だけ、発泡ウレタンを施工するのも一つの方法です
実際に下の画像は、次世代省エネルギー基準の参考書に添付されている表です。
グラスウールの施行【「住宅の次世代省エネルギー基準と指針」より抜粋 】
上の図では施行方法によって、断熱性能が違ってくる資料を抜粋したもので、
住宅の省エネルギー基準や指針を示す資料に掲載されている図です。
図(c)のように施行されてしまうと壁と断熱材の間に隙間が生じて、空気の対流が発生する可能性があると同時に「熱還流率」覧を見ると(a)の正しい施工状態時よりも断熱性能が半分以下まで下がっていることが分かります。
以上のことからグラスウールは、施工方法によって断熱性能が違ってくることがこの資料を見ることで分かると思います。
このようにしっかり施工できてこそ初めて100%の性能を発揮することができる断熱材なんです。
断熱層内にて少しでも隙間があるとそこの空間で空気の対流が発生してしまうため、施工方法には細心の注意が必要となり、
こういった知識を持った技術者が施工しなければ理想的な断熱性能が発揮できません。
そんな施工の仕方によって、断熱性能が変わってしまう断熱材の施工を、
断熱・気密の知識を有していない大工さんが施工すると理想的な状態にはなりません。
グラスウールは確かに改正省エネルギー基準の基準を満たすことが出来る断熱性能を有しておりますが、
施工者によって性能のバラツキが出ます。
施工性等の問題から住宅の断熱材には、僕は不向きだと思っております。
このようにグラスウールという断熱材は断熱性能もありますし、安価で住宅を建てる側としては大変助かる断熱材でもありますが、
施工方法やデメリットを考えると・・・
グラスウール系(繊維系)の断熱材をオススメしない理由です。
これからグラスウールを使って断熱する住宅を建築・購入予定の方は、
「グラスウールの断熱方法や施工法により断熱性能が変わるって本当ですか?」
と施工業者へ聞いてみて下さい。
そしてその施工業者が、「施工方法と気密・防湿対策が取れていれば大丈夫です!」という方が一番良い解答です。
これまでにグラスウールは、施工方法や湿気に弱いことをお伝えしてきましたが、
グラスウールの断熱に関する特徴や性質を理解して、防湿・気密対策を正しく行っている施工業者ではあれば、
グラスウールも住宅用断熱材としてしっかり性能を発揮してくれるはずです!から
しっかりした施工方法をされている信頼できる建築会社さんなら問題ないと思いますのでご安心を!
グラスウールのメリット・デメリットを理解し、適正な方法と知識・経験で施工出来る建築会社さん以外では
絶対にグラスウールを使った住宅は建てないことをオススメします。
最後まで読んで頂きありがとうございました!
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